借金が帳消しとなった破産者が受ける不利益
よく誤解されていますが、自己破産とは決してその人の人間性を否定する制度ではありません。
多重債務など、自分では解決できない借金問題を抱えている人を救済し、人生に再チャレンジできるようにするための制度です。 ですから自己破産をしたとしても、今までどおりに生活を送ることはできます。 ただし抱えている借金をなかったことにするわけですから、全くのデメリットなしというわけにはいきません。 破産者の不利益がいくつかありますので、きちんと頭の中に入れておいてください。
自己破産のデメリットの具体例
まず破産者の情報は公開されます。 どこに公開されるかというと、市町村役場の破産者名簿や官報などに記載されます。 しかし、市町村役場の破産者名簿は公的な身分証明を発行するためにある資料なので、一部関係者以外の一般の人は閲覧できません。
また、免責決定が出れば、その情報は抹消されます。 官報に関しても、普通の書店にはおいていませんし、一般の人が目にするものではありません。 おそらくほとんどの人が人生の中で官報を一度も見たことはないはずです。 ですから名前が掲載されたとしても、それで破産をしたことが周りにばれる可能性は限りなく低いといえるのではないでしょうか。
そのほかには、資格制限があることも破産者の不利益になります。 まず公法上の資格制限といって、破産者が弁護士や公認会計士、司法書士、税理士の資格を持っていると、資格停止扱いになります。 このため、資格を使って業務をしている人は今後の活動に支障をきたす恐れがあります。
また、司法上の資格制限もあります。 合名会社や合資会社の社員や、株式会社や有限会社の取締役や監査役になれません。 その他にも後見人や保証人、遺言執行者などにもなれなくなるので注意が必要です。

また自己破産をしてしまうと、皆さんがどのような借り入れをして借金返済をしてきたかという情報を記録している個人信用情報機関に、事故情報が登録されます。 これがいわゆるブラックリストに載ったという状態です。 ブラックリストに載ってしまうと、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることが難しくなります。 一般的に情報は7年間掲載されますので、向こう7年間はカードもローンも借金も利用できなくなる、現金による取引のみになると思っておかないといけません。
また、自己破産から7年程度経過してブラックリストから外れた場合には、個人信用情報に登録されていた情報は全て消去されます。 この個人信用情報の登録情報がまっさらな状態をスーパーホワイトと業界では言われていますが、スーバーホワイトの人は元ブラックを疑われて、審査をパスしにくくなるので注意してください。
借金を支払っている方の中には、自分の収入を考えると完済は無理なのではと悩んでいる人もいると思います。
ここでは、そういった方が債務整理をするべきかの是非について、検討手順をお伝えします。
完済できるかの確認
借り入れをした銀行や消費者金融が業界大手であれば、その金融会社の公式ホームページには返済シミュレーションが備わっているはずです。
自分で電卓を使って計算する方法もありますが、返済シミュレーションを使えば卓上計算機よりはるかに正確に、そして間違いなく自分が完済できるかを知ることができます。 計算機だと算出する式の意味する所を十分理解していないとミスをしていても気づきにくいです。
大抵の返済シミュレーションの場合は、金利と毎月の返済額を入力することで、いつ完済できるのか、また総支払額は幾らになるのかなどを知ることができます。 また、完済年月を入力することで、毎月の返済額を幾らにしなければならないかも知ることができます。
返済シミュレーションで得た結果を基に、自分が完済まで返済を続けることができるのかを判断しましょう。
返済できない場合は
返済シミュレーションをした結果、自分には完済するのは厳しいと感じたなら、まずは親などにお金の工面をお願いできないかを聞いてみましょう。
親が公務員などで安定した職に就いており、なおかつ裕福な生活をしているのならば、資金援助をしてくれるかもしれません。 一方、自分の親は経済的に余裕はないという方は、本格的に債務整理をすることを考えましょう。
債務整理の手順
「債務整理をしたいのだけど、まず何から始めたら良いのだろう?」と思うはずです。 なぜなら、人生の中で何度も債務整理をすることはないので、初めての債務整理体験となるからです。
債務整理には4つの方法がありますが、裁判所に申立てをする場合が多いです。 そのため、債務整理をする場合は、弁護士に代理人として手続きを行ってもらう必要が出てきます。
日本全国に多重債務を専門に取り扱っている法律事務所があります。 そういった法律事務所では、初回の相談は無料で引き受けていることが多いです。 電話や対面でのやり取りは嫌だ、あるいは匿名で相談に乗って欲しいという方もいると思います。
そういう方は、インターネットを使った無料法律相談を利用することをお勧めします。 電子メールでのやり取りになるので、日中は仕事が忙しくて電話に出れないと言う方にもおすすめの方法です。 匿名かつ無料で相談できるなら、たとえ相手が優秀な弁護士だとしても緊張することなく気軽に相談を出来るはずです。
債務整理をしたいという方は、まずは法律事務所の無料相談を利用して、自分の収入と負債額から鑑みてどの債務整理方法がベストなのかを聞くと良いでしょう。 債務整理には「自己破産」と「特定調停」、そして「民事再生」と「任意整理」があります。
自分の場合は、どの債務整理方法を選択すべきなのかを聞く所からスタートしましょう。 そして、相談をした結果、その法律事務所が信頼できると感じたなら、仕事を依頼した場合の支払報酬額等を聞いてみましょう。 自分の納得できる報酬額であれば、正式に法律事務所に自分の債務整理の処理を依頼すると良いです。